バキュロウイルスをモデルとした長鎖非コードRNAの機能解析
【研究分野】応用昆虫学
【研究キーワード】
バキュロウイルス / 非コード RNA / カイコ / 昆虫ウイルス / 病原性 / 非コードRNA / 昆虫 / 発現制御 / 遺伝子 / 転写 / ウイルス
【研究成果の概要】
昆虫ウイルスの一種であるバキュロウイルスは、100kbp以上の2本鎖DNAをゲノムとして持つ大型のDNAウイルスであり、高度な宿主制御を行うことが知られている。バキュロウイルスゲノムには100個以上のタンパク質コード遺伝子が存在するが、一部のグループが提唱しているmicroRNAをのぞいて、非コードRNAの存在は知られていない。申請者は、ウイルス感染培養細胞のトランスクリプトーム解析によって、既報のORFをコードしない長鎖非コードRNAがウイルスゲノムから転写されていることを発見した。バイオインフォマティクス解析により100個以上の非コード転写ユニットを同定し、そのうちの一部は、遺伝子ORFの5'端にクラスターをなしてマップされたことから、ORFの転写制御に何らかの役割を果たしていると考えられた。さらに、発現量が多い転写物に関して、ノザンブロット解析を行うとともに、プロモーターノックアウトウイルスの作成を行った。現在までに13種類の変異ウイルスの作成に成功しているが、それらのほとんどが、野生株と比較して、ウイルス増殖に異常が認められた。以上のことから、バキュロウイルスのゲノム中に存在する長鎖非コードRNAはゲノムからリークした単なる転写産物ではなく、「機能性」RNAとして存在していることが判明した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2010 - 2012
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)