ゲノム情報と染色体部分置換系統を利用したイネのシンク・ソース機能の解明
【研究分野】作物学・雑草学
【研究キーワード】
イネ / 収量 / 染色体部分置換系統 / ルビスコ / 非構造性炭水化物 / メタボローム解析 / QTL解析 / シンク / ソース / ゲノム / ソース機能 / QTL / シンク機能 / マクロアレイ
【研究成果の概要】
本研究では、主に染色体部分置換系統(CSSL)を材料としてイネの収量に関わるシンク機能、ソース機能の遺伝的要因を明らかにすることを目的とした。
(1)コシヒカリを遺伝的背景としたカサラスのCSSL39系統について、光合成炭酸固定酵素であるルビスコの含量と非構造性炭水化物(NSC)濃度を調査した結果、第10染色体の一部がカサラスに置換された系統で両者がコシヒカリより有意に高かった。ルビスコ含量に関するQTLは光合成速度の向上に寄与するものと期待される。
(2)ササニシキを背景としたハバタキのCSSL39系統について、ルビスコ含量、NSC濃度等を調査した結果、第5染色体の一部がハバタキに置換された系統で3者ともに有意に増大した。ルビスコ含量に関するQTLは新規なものであり、ササニシキよりも26%ルビスコ含量を高める効果のあるもので、ソース機能の向上に有用と考えられた。
(3)(2)で得られたルビスコ含量の高い系統(SL-417およびSH-29)とコシヒカリを遺伝的背景として第1染色体上のSPS1遺伝子座を含む領域をカサラス型に置換した系統(SPS-NIL)について収量等を解析した結果、ルビスコ含量の高い系統はササニシキに比べて登熟歩合が高かったため、この影響は登熟期に大きく出ていた。SPS-NILでは一穂籾数が多かったため、この影響は籾数を決定する幼穂形成期に大きく出ていた。
(4)(2)で得られたSL-417とササニシキの戻し交配集団の自殖後代についてNSC含量に関するファインマッピングを行い第5染色体上の約60-kbの範囲にQTLが存在することを明らかにした。この領域には炭水化物関連遺伝子等7つの遺伝子が含まれていた。
(5)代謝物の網羅的開発手法としてキャピラリー電気泳動/質量分析計を用いた新たなシステムを開発した。本方法はキャピラリーを交換することなくアミノ酸および有機酸を効率的に解析できるため、イネなどのメタボローム解析が進むことが期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山岸 徹 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
佐々木 治人 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
青木 直大 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】47,190千円 (直接経費: 36,300千円、間接経費: 10,890千円)