木質複合廃棄物の炭化形成と燃焼に関する基礎研究
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
木炭 / 石膏ボード / ホルムアルデヒド / 高温TG-DTA / 解体材 / 熱分解 / 吸着性能 / リサイクル / キチン
【研究成果の概要】
生ゴミ、解体材や型枠廃材などは異物の混入が多彩になっているが、その燃焼の中間過程で生じる炭化については木質廃棄物から生じている。本研究は木炭と異種材料で混用複合された材料の機能性の付与と、木炭の新たな機能を発現させるため二段炭化による超高温処理を施し、その木炭の性状について検討した。
炭化形成は炭化温度や雰囲気などの各種条件下で異なるが、生物組織特有の組織構造はかなり高温まで維持される。炭素の結晶構造の変化やホルムアルデヒドなどの吸着性賦与は炭化温度に依存する。
スギ材を原料として500℃以下で一段炭化した木炭を真空後アルゴン置換した雰囲気で2000℃以上にして二段炭化したところ、2500℃以上で円錐形炭素物質の形成がみられた。この新しい性状の炭素形成物はグラファイト化の製造過程の違いから、その形状や熱的性質に従来の木炭とかなり異なることが明らかになった。とくに差動型高温TG-DTAによる計測では大気中での熱分解に対しては通常の木炭に比較して高温側にシフトし、分解に要する温度領域がやや広くなる。その結果から円錐形炭素物質の単離は大気中での熱分解の温度差と持続時間を組み合わせた方法が考えられる。
廃石膏ボードを各種温度で熱処理して結晶水の異なる状態として、木炭の混入比を変化させて得た複合材料の物性を計測した。約500℃で熱処理した石膏は無水石膏であり、木炭混入時の水の添加や乾燥温度によって状態は変化せず、木炭の混入比の増加によって平衡含水率が増加した。異物混入によって生じる燃焼、炭化物を現実の場で考えると最小限の管理が必要であり、燃焼と熱処理を加味した複合材料は保管、簡易な用途対応がきわめて重要と考えられる。また炭化物の高度な機能性付与については分解ガスの状況から考えると二段炭化が必要と思われる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
斉藤 幸恵 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
信田 聡 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】12,200千円 (直接経費: 12,200千円)