生物時計の同調あるいは撹乱による収穫後青果物の品質制御
【研究キーワード】
近赤外スペクトル画像 / 細胞膜物性 / 機能成分 / 核磁気共鳴 / 緩和時間 / 水透過性 / タイムラプスハイパースペクトル画像 / スペクトル画像
【研究成果の概要】
本年度は、大気条件下で貯蔵したホウレンソウ葉について、タイムラプス分光画像の収集、膜機能劣化の定量、1~3次機能成分の分析を実施した。分光画像データの主成分解析の結果、第2主成分のスコアに鮮度劣化との関係があり、4℃貯蔵では当該スコアの変化が小さいのに対して、20℃貯蔵では収穫後の時間経過と共にスコアが増大することが示された。主成分ローディングの観察から、700 nm付近が第2主成分スコアの算出に支配的な影響力を持つことが明らかとなった。また、核磁気共鳴縦緩和時間(T1)の測定の結果、観測されるT1はプロトプラスト単離からの時間経過に伴いシグモイド型で増加することが明らかとなり、単離後のダメージの進行と高精度のT1測定とはトレードオフの関係になることが分かった。さらに、二層流法による細胞膜水伝導係数(Lp)の測定の結果、プロトプラスト単離精製時における遠心強度の増加がLpを増大させること、浸透圧ストレス履歴によってもLpが変動すること、およびそれらによるLpの変化は膜を介した水移動の方向や収穫後の経過日数によっても異なることが明らかとなった。これらの結果は、プロトプラストの単離操作が膜物性の計測値にもたらす効果が試料の鮮度状態によって異なることを示唆するものであった。
【研究代表者】