消費者志向の農産物品質評価システム構築のための基礎研究
【研究分野】農業環境工学
【研究キーワード】
流通環境温度 / シュンギク / 全糖含量 / アスコルビン酸含量 / 積算呼吸量 / 品質保持率 / 流通温度 / 糖含量 / 総ポリフェノール含量 / 呼吸速度 / クロロフィル含量 / カロテノイド含量 / 呼吸予測モデル / ミカエリス・メンテン / 酸素濃度依存性 / 温度依存性
【研究成果の概要】
現行の青果物のトレーサビリティシステムを有効に活用し,消費者が知りたいと考えている栄養成分含量情報を公開可能とするための基礎研究として,本研究では,福岡近郊ハウスにおいて周年栽培されており,栄養成分が多量に含まれている軟弱野菜のシュンギクを調査対象とし,収穫から小売店頭での販売に至るまでの実際の流通環境下におけるシュンギクの品質変化量を予測することを目的とした.ここでは,栄養成分含量を品質指標とみなし,全糖およびL-アスコルビン酸含量の経時変化を調査した.また,各栄養成分含量は季節に応じて異なることから,収穫直後の絶対値による比較ではなく,収穫直後の値を成分保持率100%とみなし,その相対値により品質変化量を算出することとした.
品質変化量を予測するモデルは,流通環境中の積算呼吸量と内容成分変化量との関係を,一次反応速度モデルに適用することで構築した.流通環境中の積算呼吸量を予測するためには,まず,酵素反応速度論より展開された既存の呼吸速度モデルを実際の流通環境温度の呼吸予測に適用し,これまで明らかとなっていた周期的な変温条件のみならず,流通環境のような不規則な変温条件の場合にもこのモデルを適用し得ることを明らかにし,その呼吸モデルを収穫からの積算呼吸量予測モデルに拡張した.次に,流通環境下における栄養成分含量の経時変化を把握するために,実験室内にて再現した流通温度環境下において,シュンギクの内容成分含量の変化を調査した.
最終的に,積算呼吸予測モデルより算出した流通過程中のシュンギクの積算呼吸量と全糖含量,L-アスコルビン酸含量の変化量にはそれぞれ高い相関が認められ,この関係を表現する一次反応速度モデルから,流通環境中の両成分の保持率が予測できることを明らかにした.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)