体細胞変異に焦点をあてたGATOR1機能障害によるてんかん発症機序の解明
【研究キーワード】
てんかん / 疾患モデル動物 / 遺伝子変異 / 体細胞変異 / 遺伝子 / 実験動物
【研究成果の概要】
GATOR1の常染色体優性機能喪失型変異は、多様なてんかん発作を引き起こす。患者脳組織で、新たにGATOR1機能喪失型の体細胞変異が同定されたことから、脳で両アリルに機能喪失型変異が発生する2-hitが発症に影響を与え、体細胞変異発生箇所に依存して多様な症状が現れると考えた。そこで、2-hitモデルマウスを作製して患者の遺伝子異常を再現したが、てんかん発作は認められなかった。一方で、大脳皮質全体でGATOR1を欠損させたマウスは、患者の表現型を再現した。このマウスの脳皮質においてRNA-seq解析を行ったところ、てんかん関連遺伝子を含む複数の遺伝子の発現変動が明らかになった。
【研究の社会的意義】
本研究では、GATOR1に変異を有する患者の表現型を再現するマウスモデルを用いたRNA-seq解析により、GATOR1変異によって引き起こされる複数の遺伝子の発現変動を明らかにした。それらの遺伝子にはてんかん関連遺伝子としてこれまでに報告がある遺伝子も含まれていたことから、本解析によって検出された遺伝子群の発現の変動はてんかん発作の発症に強く関連していると期待される。今後、これらの遺伝子がてんかんの治療標的として有効かどうか、またそれらの発現調整がてんかん抑制効果を示すかどうかを検証することにより、新たな治療法の開発につなげることができる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)