両生類切断肢再生組織における発現遺伝子の時系列解析:切断足再生のための基礎的検討
【研究分野】リハビリテーション科学・福祉工学
【研究キーワード】
再生医療 / 有尾両生類 / 遺伝子 / 再生芽 / 幹細胞
【研究成果の概要】
申請者らは、足切断患者の足を再生させること、すなわち足部切断面の幹細胞を活性化して骨、軟骨、靭帯、筋、腱、神経をそれぞれ誘導し、各組織を再構築することにより機能する足を再建する方法の確立を究極の目的としている。本申請における研究では、そのための基礎的検討として、切断肢の再生能力を持つ両生類に着目し、切断肢断端における組織再生過程におけるたんばく質発現様式を詳細に解析することを目的とした。
平成19年度は、平成17、18年度に確立された実験システム、麻酔を用いての切断方法、その組織片の採取方法およびその変化を記録するプロトコールをもとに、切断実験を行った。イモリの四肢に冷却麻酔を施し、後に、後肢の切断術を施行した。術直後、24時間後、4日後にイモリに対して過量麻酔薬吸入で安楽死をさせた。こののち、切断端に形成された再生肢を採取した。得られた再生肢から、その切断端から2mmごとに組織を抽出してその細胞に対してin situハイブリダイゼーションを行い、トランスフェリン、TGFβ1、FGF(Fibroblast growth factor)がどの程度発現が行われているのかを検討した。その結果、トランスフェリンは、術直後に1.14mg/Lであったものが24時間後、4日後には0.06mg/L以下であった。TGFβ1は、いずれも0.50ng/mL以下であった。これに対して、FGFは、切断直後に10pg/mL以下であったものが、24時間後に15pg/mL、4日後に16pg/mLと増量してきていた。このことから、有尾両生類の切断肢組織再生過程の初期において、FGFが重要な働きをしていることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岡田 泰昌 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)