3大陸横断型のウイルス性人獣共通感染症の調査研究
【研究キーワード】
ウイルス / 人獣共通感染症 / 野生動物 / アフリカ / 南米 / アジア
【研究成果の概要】
地球レベルでの環境変化や野生動物との生活圏域の近接化により、新興感染症となりうる人獣共通感染症が、ヒト社会に侵入する可能性は増大している。最近の研究から、アフリカ、南米、アジア等の国々が、人獣共通感染症が発生しやすいホットスポットであると予測されているが、その実態は未だ不明である。そこで本研究では、アフリカのシエラレオネ、南米のボリビア、東南アジアのインドネシアにおいて、人獣共通感染症を引き起こすウイルスの流行状況を把握するために、海外共同研究者と連携して、ヒトや野生動物における血清学的調査、および野生動物が保有するウイルスの分離・同定を行う。
本研究では、アフリカ・シエラレオネの共同研究者であるシエラレオネ大学のAlhaji n’jai博士の協力のもと、シエラレオネのコウモリが保有するコロナウイルスの解析を行なった。まず、バイオインフォマティクス解析によって、コロナウイルス遺伝子を包括的に検出するための39種類の縮重プライマーペアを設計した。これらのプライマーペアを用いて、RT-PCRの条件設定を行ない、最適なプライマー濃度、アニーリング温度、PCR酵素を決定した。最適化した条件下で、アルファコロナウイルスであるHCoV-229E、ベータコロナウイルスである新型コロナウイルスから抽出したRNAを用いてRT-PCRを行ったところ、目的のサイズである400から450bp付近にバンドを検出した。続いて、シエラレオネで採取したコウモリ臓器から抽出したRNAを用いて、コロナウイルスゲノムの検出を試みた。その結果、コウモリ26頭中1頭の腸管から、アルファコロナウイルスの遺伝子配列を検出した。現在、次世代シークエンスによる解析中である。
【研究代表者】