In vivo検出可能な近赤外一酸化窒素感受性蛍光色素の開発研究
【研究分野】創薬化学
【研究キーワード】
蛍光 / イメージング / 近赤外 / シアニン / ジアミン / トリアゾール / 一酸化窒素 / in vivo
【研究成果の概要】
動的な生命現象を生きた状態でリアルタイムに観察することは生命科学研究の基本となる。私は多様な役割が報告され、真の生理作用が混沌としている一酸化窒素(NO)を高感度・特異的に測定できる新規蛍光色素であるジアミノフルオレセイン(DAF)類を創製し、NO生成の時空間解析を目的とした可視化(イメージング)法を開発してきた。生物個体レベルでのイメージングも重要であるが、励起光が蛍光色素に届くことが必要であることから、可視光励起であるDAFを用いるin vivo測定は体表面付近に限局されてしまう。そこで、生体組織透過性のよい近赤外領域で励起可能で蛍光を発するNO感受性蛍光色素を光誘起電子移動機構に則って分子設計し、有機合成した。合成されたジアミノシアニン(DAC)類はNOと反応することでトリアゾール体となり、790nmにおける蛍光強度が増大することから、当初計画通り、NO感受性近赤外蛍光色素創製が達成できている。
DACにスルホン酸基を導入して水溶性を上げたDAC-Sとプロピル基を導入して脂溶性を上げたDAC-Pの二種を準備した。脂溶性の高いDAC-Pを利用することでラットの摘出腎臓の腎動脈からその溶液を灌流することで容易に摘出腎臓に負荷できることが判明した。その腎臓を実体蛍光顕微鏡下で近赤外蛍光観察し、NO放出剤であるNOC13を流すことで、期待通り、生体組織中でDAC-Pが捉えたNO由来の組織深部からの蛍光を画像化することに成功した。本結果より、創製に成功したNO感受性近赤外蛍光色素DAC類によるin vivo測定のポテンシャルを示すことができた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)