リボソーム融合型ナノポア技術による1分子タンパク質網羅定量解析
【研究キーワード】
ナノポア / 1分子 / タンパク質翻訳 / リボソーム / 膜タンパク質
【研究成果の概要】
本研究は無細胞翻訳系によるリボソームの翻訳とナノポアによるペプチドの解析を融合させ、リボソームから出てきた新生ペプチドが直接ナノポアを通過することによって、合成されたタンパク質の網羅解析を行う基盤技術の開発を行います。
まず、ナノポアシステムの正確な構築テストのため、膜タンパク質ナノポアではなく、すでに実績のある半導体ナノポア計測によって生体分子を1分子レベルで計測できるシステムを構築しました。窒化シリコン半導体基板をレーザーでエッチングしながら電圧を印加させることで、数nmの孔を開けることに成功しました。
次にこの孔でtRNA分子の通過計測を行い、転写後修飾なしのtRNAと修飾ありのtRNAを比較することで修飾なしのtRNAに比べて、修飾ありのtRNA構造安定性が向上した結果を得ました。また、H2Aヌクレオソームをナノポアで計測することで、DNAがヒストンから引き剥がされてナノポアを通過する様子が観察されました。さらにH2A.Bヌクレオソームバリアントと比較することで、バリアントはDNAの引き剥がされる過程が多様であることがわかりました。
このように半導体ナノポアによって核酸分子や核酸タンパク質複合体の構造安定性を計測することができるようになりました。この計測結果は新規に計測されたものであり、分子動力学シミュレーションで再現されるかを現在テストしています。
次に、膜タンパク質ナノポアの構築を進めました。液滴接触法を用いて脂質二重膜を再構成することによって、αヘモリシン膜タンパク質ナノポアを構築し、DNA分子の通過を計測することに成功しました。今後はSecYEGにおいて同様に膜タンパク質ナノポアを構築できるかを試し、さらにリボソームとの複合体形成を試し、新生ペプチドの検出へと研究開発を進めていきます。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)