1細胞レベルでのシグナル伝達の時間情報コードの解析
【研究キーワード】
時間情報コード / システム生物学 / ゾネーション / トランスオミクス / 情報理論 / 1細胞計測 / 相互情報量 / 1細胞 / 自動認識 / 確率的ゆらぎ / シグナル伝達
【研究成果の概要】
研究代表者らの1細胞レベルで情報理論の解析により、細胞間の不均一性は逆に情報として利用され組織の正確な応答制御を可能としていることが明らかとなった(1細胞レベルの情報コード)。一方、組織内では同じ細胞であっても局在に応じて異なった応答を示す(ゾネーション)。例えば、肝臓では、門脈から中心静脈へ至る順に空間的に3つの機能的ゾーンに区分けされ、門脈周囲ではグルコース合成が、中心静脈周囲では解糖系が主要な細胞応答である。このような組織内局在による応答の違いは空間的細胞間不均一性とみなすことができるが、その不均一性や空間的配置が情報伝達の正確性にどのように寄与するのかは不明である。本研究では、これまで別々に解析されてきた1細胞レベルの情報コードと、ゾネーションを組み合わせることにより、ゾネーションによる細胞間不均一性を利用した情報処理の最適性を明らかにする。
本年度は、先行研究で計測された肝臓のゾーンごとのトランスクリプトームデータ・プロテオームデータをもとにゾネーショントランスオミクスネットワークを構築することに成功した。具体的には、ゾーン1(中心静脈付近)とゾーン8(門脈付近)のデータを用いて肝臓ゾネーション比較トランスオミクスネットワークを構築した。その結果、ゾーン8では脂質生成、糖質代謝、アミノ酸代謝が相対的に活性化しており、ゾーン1では脂質分解とヌクレオチド代謝が活性化していることが分かった。このことは、中心静脈付近で脂肪合成や解糖系が、門脈付近で糖新生や脂肪燃焼が活発であるという先行研究の結果とよく整合している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
眞鍋 康子 | 東京都立大学 | 人間健康科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)