味覚嫌悪学習機構における必要十分条件の探索
【研究分野】神経科学一般
【研究キーワード】
味覚嫌悪学習 / モノアラガイ / 中枢パターン発生器 / ニューロモジュレーション / 抑制性シナプス後電位 / 咀嚼運動 / セミ・インタクト標本
【研究成果の概要】
淡水棲カタツムリ(モノアラガイ)に味覚嫌悪学習を施し,その学習効果に対して行動学と生理学とを同時に組み合わせた神経行動学的解析を行った。そして,我々が既に提出している味覚嫌悪学習に関するニューロモジェレーションモデルの証明を行い,その学習・記憶機構にとっての必要十分条件を見出すことに努めた。まずは,学習を施された実験動物と施されていない実験動物の両者の中枢神経系を摘出して、神経生理学実験を行った。そして,咀嚼リズムを司っているcentral pattern generatorの介在神経細胞において,その性質の違いを抑制性シナプス後電位の延長という形で見出し,味覚嫌悪学習に対する我々のニューロモジュレーションモデルを部分的に検証した。一方,central pattern generatorでの抑制性シナプス後電位の延長を人工的に起した後に,実際に固体の条件刺激に対する嗜好性応答(咀嚼運動)を行動実験で観察し,それが減少しているか(味覚嫌悪)を調べた。そのためには,中枢神経系を摘出するのではなく,動物固体を生きたまま不動化し,その我意膜を切り開いて中枢神経系を露出させた標本を作った。そして着目している細胞の膜電位を過分極状態にした上で,条件刺激に対する咀嚼運動の減少を確認することができた。このように部分的ではあるが,咀嚼リズムを司っているcentral pattern generatorの介在神経細胞における抑制性シナプス後電位の延長が,味覚嫌悪学習における必要十分条件であることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)