視覚皮質興奮性・抑制性ニューロンのシナプス入力機能構築と情報統合機構の解明
【研究キーワード】
シナプス / 2光子イメージング / 視覚情報処理 / 単一ニューロンの情報処理 / 入出力変換 / 2光子カルシウムイメージング / スパイン / 一次視覚野 / 興奮性ニューロン / シナプス入力機能マップ / 入力ー出力変換 / 非線形統合 / 神経演算 / シナプス入力 / 2光子イメージング / 抑制性ニューロン / 単一細胞の情報処理 / 樹状突起演算 / 大脳視覚野 / マウス / 視覚野
【研究成果の概要】
ニューロンは多数のシナプス入力を受信し、受信した信号を選択的に統合することにより、一意の出力を決めていると考えられる。しかしながら、具体的にどのようなメカニズムにより出力が決められているかは未知な点が多く残されている。単一ニューロンレベルでの情報統合メカニズムの解明は、神経回路の情報処理を理解するうえで重要なことの一つと考えられる。本研究では、マウス大脳視覚野のニューロンをモデルに入力―出力変換のメカニズムの解明を目指している。2021年度は、2020年度に引き続き大脳視覚野のニューロンのうち興奮性ニューロンに着目し、個別のニューロンからスパイン活動の大規模2光子カルシウムイメージングを行った。大脳視覚野の単一興奮性ニューロンから約1000個のスパインの活動を記録し、各スパインの位置と反応特性を樹状突起上に再現したシナプス入力機能マップの作製に成功した。このマップをもとに、シナプス入力の機能分布を解析しモデル計算を行った結果、樹状突起における非線形演算と細胞体における非線形演算の2つの演算機構の組み合わせにより行われている可能性が分かった。結果を論文としてまとめ、学術誌に投稿した。平行して、本研究費の2つ目の課題である抑制性ニューロンにおける神経演算の仕組みの解明を行うための準備実験を開始した。抑制性ニューロンから興奮性シナプス入力を記録するには、興奮性ニューロンの場合とは異なる実験系を構築する必要があり、2021年度はその実験系を確立した。大脳視覚野ニューロンの大部分は興奮性ニューロンの為、割合の少ない抑制性ニューロン特異的にカルシウムセンサータンパクと光抑制性タンパクを発現させるために、抑制性ニューロン特異的に発現する遺伝子のプロモーターを使う発現ベクターを作成し、抑制性ニューロン特異的にイメージング可能な実験系を確立した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)