脳波-近赤外分光法同時記録を用いたサブプレート・ニューロンの脳血流動態の解明
【研究キーワード】
サブプレートニューロン / 早産児 / 脳波 / デルタブラッシュ / 近赤外分光法 / 安静時ネットワーク / 自発的活動 / 睡眠ステート / サブプレート・ニューロン
【研究成果の概要】
本研究の目的は、ヒト早産児を対象に、1)脳波と機能的近赤外分光法(fNIRS)の同時記録を多チャンネルで行い、サブプレート・ニューロンの神経活動に応答する脳血流反応を明らかにすることである。さらに、2) サブプレート・ニューロンの活動動態が、将来の脳構造や脳機能、神経ネットワーク形成に及ぼす影響を明らかにすることである。本研究は、げっ歯類の実験から導かれた仮説である「サブプレート・ニューロンが胎生期の脳発達や神経ネットワーク構築に重要な役割を果たす」ことをヒトで実証する意義がある。
令和3年度は、令和2年度に引き続き、名古屋大学医学部附属病院における在胎22~32週の早産児で、研究参加に同意が得られた早産児28例に対し、安静睡眠時に約60分の脳波-fNIRS同時記録をNICU内あるいは脳波室で施行した。記録は修正30週~44週まで反復して行い、各症例で1~4記録(合計79記録)を行った。得られた脳波データを用い、睡眠覚醒あるいは動睡眠と静睡眠の各ステート分類を視察的に行い、NIRSデータとの関係を検討した。その結果、動睡眠では静睡眠と比較し、NIRSが捉える安静時ネットワークのチャネル間同期性が高値となることを明らかにした。このことは、安静時ネットワークが睡眠ステージで異なる可能性を強く示唆する重要な成果であり、症例数を増やすことでより強固なエビデンスを得ることができた。さらに、安静時ネットワークが在胎週数が増すにつれて発達的に変化することが示唆された。
加えて、脳波上に観察されるデルタブラッシュを自動検出するアルゴリズムの開発を進め、プロトタイプとなるアルゴリズムの開発を行った。令和4年度は、これを用いて、NIRS情報との対応を検討し、目的となるサブプレートニューロンの神経活動に応答する脳血流反応を明らかにする予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
多賀 厳太郎 | 東京大学 | 大学院教育学研究科(教育学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
夏目 淳 | 名古屋大学 | 医学系研究科 | 特任教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)