シクロデキストリンを有する新規ポリマーゲルの開発
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
シクロデキストリン / ポリエチレングリコール / ポリアミド / 包摂化合物 / ゲル / 物理ゲル / ロタキサン / 包接化合物
【研究成果の概要】
先ず、モノアミノ化したα、β、及び、γ-CDとPEGジカルボン酸を用いたトポロジカル・ブランチポリマーの合成とその構造解析を行った。CDの種類に関わらず、モノアミノCDと分子量3000のPEGジカルボン酸の縮合生成物中には、PEGの両末端をCDで修飾しただけのダンベル型分子のほかに、CDがPEGを「疎」に包接して架橋点となっているトポロジカル・ブランチポリマーが含まれていることを明らかにした。また、縮合生成物のGPC溶出曲線を波形分離して、全縮合生成物中の架橋高分子の割合、縮合生成物中の架橋点として関与しているCDの割合、PEG鎖1本を包接しているCDの平均分子数を定量的に評価する方法を確立した。いずれのパラメータも縮合反応時のモノアミノCDとPEGジカルボン酸の濃度が高いほど高い値を示したことから、トポロジカルな架橋点の形成、即ち、「疎」なモノアミノCD/PEGジカルボン酸包接形成は平衡反応に支配されていることを明らかにした。次に、得られた縮合生成物中のCD/PEG分子内包接構造について調べた。低分子化合物とCD間の包接複合体形成に関わる結合定数の定量法を応用して縮合生成物中の空のCDを定量する方法を確立し、縮合生成物中のCD分子の状態を、架橋点形成CD、分子内包接CD、空のCDに定量的に分類した。さらに、縮合生成物中のトポロジカル架橋点数の、PEG分子量に対する依存性を評価した。縮合反応において、PEGの分子鎖数は一定にし、EGユニットの濃度を分子量と比例して変化させたところ、PEG分子量の増大とともに縮合生成物中のトポロジカル・ブランチポリマーの割合の増加が示唆されたことから、「疎」なCD/PEG包接複合体形成能がPEGの分子鎖末端数ではなく、繰り返し単位であるエチレングリコール(EG)ユニットの濃度に依存することがわかった。縮合反応におけるジアミノCDとPEGジカルボン酸濃度を高くすることによりゲル化が見られたことから、ジアミノCD/PEGジカルボン酸包接化合物形成がゲル化に寄与していることがわかった。また、得られたゲルは水だけでなく、ジメチルホルムアミド、クロロホルム中でも膨潤することを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉江 尚子 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)