情報分子に応答するタンパク質集積体の作製との基本特性に関する研究
【研究分野】生物・生体工学
【研究キーワード】
カルモジュリン / 分子集積 / カルシウムイオン / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / LB膜 / 融合タンパク質 / カルシウム・イオン / 環境応答 / タンパク質集積体 / インテリジェント・デバイス / 刺激応答膜
【研究成果の概要】
本研究は、外部からの情報に応答して構造変化を起こすタンパク質と、その構造変化を受容して反応を起こすタンパク質を組み合わせて、外部情報に応答して構造変化を起こし、自ら反応を誘起する、インテリジェンスを有するタンパク質集積体を作製することを目的として行った。この目的を達成するために、カルシウムイオンに応答して構造変化を起こし、様々な酵素を活性化するタンパク質であるカルモジュリンに着目した。
まずカルモジュリンを集積化するため、ラングミュアー・ブロジェット(LB)法により気液界面に単分子膜を作製した。得られたカルモジュリンLB膜は、液相に存在するカルシウムイオンに応答して大きな構造変化を起こし、伸長・収縮が可能な単分子膜であることが明らかとなった。
また固体基板へのタンパク質分子集積を目的とし、結合タンパク質をカルモジュリン分子に導入することを試みた。結合タンパク質として、グルタチオンに対して特異的結合能を有するグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を遺伝子組み換えによりカルモジュリンと結合して、融合タンパク質を作製した。得られたGST/カルモジュリン融合タンパク質は、グルタチオンを介して基板上に集積化できること、このタンパク質集積体がカルモジュリンの標的酵素であるホスホジエステラーゼの活性をカルシウムイオンの有無により可逆的に制御できることなどが明らかになった。
さらに本研究で得られたタンパク質分子集積に関する技術と知見は、バイオセンサや免疫測定など幅広い分野への応用展開が期待できる。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)