人類の低タンパク適応メカニズムの固有性と普遍性
【研究キーワード】
栄養適応 / 腸内細菌 / 低タンパク適応 / ラオス / パプアニューギニア / インドネシア / たんぱく
【研究成果の概要】
人類集団のなかには、タンパク摂取量が極端に少ないにもかかわらず、タンパク欠乏にともなう臨床症状をしめさないものがあることが知られている。これは、「低タンパク適応」と呼ばれ、代表者のグループは特に腸内細菌叢の役割に着目しながら、そのメカニズム解明を目指してきた。本申請課題では、これまで研究をすすめてきたパプアニューギニア高地に加えて、タンパク摂取量が少ないことが確認されている2つの地域(ラオス北部ウドムサイ県ナモー郡・インドネシア西ジャワ州スメダン県)を対象に加えることにより、「低タンパク適応」メカニズムの固有性と普遍性を明らかにすることを目的とした。
2020年度は,サンプリング調査を予定していたインドネシアにおいて,インドネシア政府の判断により調査が延期となったため,代替となる調査地を日本国内で検討したほか,パプアニューギニア,ラオスで収集済みの生体試料を用いたメタゲノム解析,ウィルスの分子疫学的解析,学会・学術誌での成果発表をおこなった.低タンパク適応を再現したモデルマウスを用いた実験についても,成果を論文として発表したほか,実験データのさらなる解析をすすめた.さらに,標識したアミノ酸を用いて個人レベルのタンパク必要量を推定するための実験プロトコールを検討し,そのために必要な機器の選定,試薬の調達,先行研究の文献調査などを実施した.研究代表者および分担者は,ZOOMなどのオンライン会議システムをもちいた打ち合わせによって,円滑なプロジェクトの遂行を心がけた.
【研究代表者】