バンコマイシンおよび関連イソジチロシン型生理活性物質に関する化学的研究
【研究分野】生物有機科学
【研究キーワード】
イソジチロシン / バンコマイシン / フェノール酸化 / ジアリールエーテル / ジアリール / 固相反応 / アルドスタチン / RP66453 / MRSA / アノード酸化 / タリウム(III) / プンメラーケトン / パンコマイシン / 耐性菌 / ジアリールエテール / ハロゲン化フェノール / 有機電気化学
【研究成果の概要】
本研究では、バンコマイシンを基盤とする合成的にアプローチの容易な化合物を創製し、有効な医薬品の開発を目指す。鍵反応となるジアリールエーテル構築には、有機電極反応とタリウム酸化の利点をジョイントさせた方法を開発し、バンコマイシンとその関連物質の合成を目指す。以下にその成果を列挙する。
イソジチロシンなどの天然物の合成では、その詳細が明らかにされていなっかたハロゲンの種類と酸化の反応様式の関係をジハロゲン化フェノールを用いて明らかにした。即ち、塩素あるいは臭素からは1電子酸化成績体のラジカルを経由して、ジアリールエーテルが出来るのに対し、ヨウ素体の場合には、ヨウ素の直接酸化により生成するフェニルラジカルのカップリングにより、ジアリールが生成することを明らかにした。上記の知見を基に、アルドース還元酵素阻害剤アルドスタチンを合成した。さらに、ニューロテンシン拮抗物質RP66453の重要な合成中間体を得た。
モノハロゲン化フェノールについても反応生成物を精査した結果、ハロゲンの種類に関係なくジアリールエーテルおよびジアリールとともにプンメラー型ケトンが生成することを見出した。さらに、置換基を種々修飾して立体選択的スピロ環構築を試みた結果、光学活性体を含むスピロジエノン体の立体異性体をそれぞれ単離した。得られたスピロジエノン体は、ルイス酸存在下に選択的にジヒドロベンゾピランに誘導されることを明らかにした。
環境親和性の反応を目指して環状イソジチロシンの合成を固相反応化を試みた。即ち、固相系におけるペプチド鎖の延長反応を行い、得られたトリペプチドを固相上でタリウム酸化に付すことで環化成績体を初めて得ることに成功した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】2,900千円 (直接経費: 2,900千円)