RNA高次構造ダイナミクスを介した植物環境応答システムの解明
【研究キーワード】
RNA高次構造 / 植物環境応答 / 温度依存性 / RNAサーモメーター / RNA / 植物 / 環境応答
【研究成果の概要】
本研究では、植物のロバストな細胞形質発現を可能にする環境応答システムとして「RNA高次構造ダイナミクス」に着目し、温度依存的なRNA高次構造ダイナミクス情報の新規取得、さらには、植物における「RNAサーモメーター」の同定を目指して解析を行っている。以下が2021年度の成果である。
1. 22℃、28℃の温度条件で育てたシロイヌナズナ芽生えに関するトランスクリプトームデータの比較解析、さらにはRNA代謝制御異常変異体のトランスクリプトームとの比較解析を進めた。この結果、6℃の温度条件変化によって起こる遺伝子発現量およびpre-mRNAスプライシングパターンの異常を多数例抽出することに成功し、とくにスプライシング変異体では、温度依存的にオーキシン関連遺伝子のmRNA代謝が大きく変化することが明らかとなった。
2. 細胞ストレス依存的にスプライシング異常が起こる遺伝子について、DMS-qPCR解析を進めた。この結果、温度変化や細胞ストレスによってRNAの二次構造変化が起こっていること、さらにこの構造変化によってスプライソソームが本来の認識部位領域にアクセスできなくなり、結果としてスプライシング反応が阻害されていること、を示唆するデータを得た。
オーキシン関連遺伝子群は、選択的スプライシング、miRNAによる翻訳・分解制御、uORFを介したNMDによる分解制御、など多面的なRNA代謝制御のターゲットとなっていることが知られている。以上から、オーキシン関連遺伝子群の中に植物「RNAサーモメーター」の候補が多く含まれている可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)