3倍体プラナリアの有性生殖を可能にする減数分裂における染色体削減の雌雄差
【研究キーワード】
有性生殖 / 減数分裂 / 3倍体 / プラナリア / 染色体削減 / 染色体分配 / 中心体 / シナプトネマ複合体 / SYCP1 / 倍数性 / 性差
【研究成果の概要】
有性生殖プラナリアでは体細胞性全能性幹細胞ネオブラストから生殖細胞が形成される。有性生殖が可能な3倍体プラナリアでは、精子が1倍体であるのに対して、雌性生殖細胞系列は減数第一分裂中期まで3倍体が維持されている。
FACSにより3倍体個体の精巣領域細胞の核相を調べたところ、4nの細胞のみが存在したことから、ネオブラストから精原細胞に分化する際に1セット削減され2倍体となっていた。一方、卵母細胞の分裂装置中の紡錘体と染色体の挙動を観察すると、減数第一分裂では3セットのうち2セットの染色体が分裂装置に組み込まれ、対合・分配するが、対合しない1価染色体は分裂装置から外れているが、微小管とは結合していた。
【研究の社会的意義】
真核生物には2倍体のものが多いが、異数体も存在する。3倍体個体は減数分裂対合時に異常が発生して正常な2価染色体が出きないために正常な配偶子ができず、有性生殖できないというのが生物学の常識である。
研究代表者はプラナリアでは3倍体個体でも減数分裂を行い、ゲノムの混合を伴う有性生殖を行うことを発見した。本課題では、生物学の常識を覆し、3倍体プラナリアの雌性生殖細胞が行う減数分裂を分子レベルで明らかにすることができた。これは学術的意義が十分に高い成果であると研究代表者は考えている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)