柔軟な海洋構造物の深海設置技術に関する研究
【研究分野】船舶構造・建造
【研究キーワード】
アクティブ制御 / 大水深 / 海洋構造物 / アクチュエーター / 弾性振動 / 流体力 / 設置技術 / 振動 / 弾性応答
【研究成果の概要】
大型化や軽量化によって柔軟化し、弾性応答の無視できないような構造物を深海に設置する技術に関するニーズは高く、遠隔操作により設置するための基本的技術の開発を行った。
平成4年度には構造物の弾性応答の制御に関する研究動向を調査した。制御手法は、流体力の非線形性、不確実性に対応できることが必要である。そこで、速度フィードバック(DVFB)により弾性応答全体を安定化させた上で、主要な弾性モードおよび剛体運動について制御を行い、軌道に沿って移動させ、目標位置に設置するHAC/LACに基づいた制御手法を開発した。
平成5年度には柔軟な構造物を想定して実験模型を製作した。実験模型は剛円筒を5行5列に配置し、互いを細い柔軟な梁で結んだ平面的なものであり、面外に変形が大きく現れる形式の模型である。さらに、予備的なシミュレーション計算と実験を実施した。
平成6年度には、最終的なシミュレーション計算と実験模型を用いた実験を行った。シミュレーション計算では水槽底に置いた模型を持ち上げ、弾性応答を制御しつつ一定深度で高度を保持する基礎的なものと、柔軟構造物の設置を模擬して原点から別の点まで移動させ、方向を変え一旦保持した上で元に戻して原点に戻すというものである。一定深度を保持する実験、目標軌道に沿わせる実験ともに十分な精度で行えることを確認した。
シミュレーションで良好な結果が得られ制御手法の有効性が確認できたので、さらに実験を実施した。実験では不確実性や非線形性のある実環境中において制御手法が有効であることが試された。高度維持は良好に行うことができたが、目標軌道に沿って移動させる実験では予備実験で確認された、スラスターのノイズによるセンサー精度の低下という実験技術上の問題が残り、実験精度が若干低下したものの実験は有効に行われた。
【研究代表者】