在アジア日系製造企業における「組織」「販売・マーケ」「調達」の現地化の統合的研究
【研究キーワード】
国際経営 / 現地化 / マーケティング / 生産 / 開発 / 多国籍企業 / 日本企業 / アジア
【研究成果の概要】
本研究は、在アジアの日系製造業企業の海外子会社を対象に、「①組織の現地化、販売・マーケティングの現地化、調達の現地化は、それぞれ他の現地化を促進するのか」「②各現地化戦略は他の現地化戦略と海外子会社のパフォーマンスの関係に対してどのような調整効果を持つのか」の二つの問いに答えることを目的とする。そのために1年目は文献レビューと企業調査を予定していた。
まず、文献レビューについては、既存研究においてlocalization(現地化)がどのような使われ方をしてきたのかを、計量書誌学的アプローチで分析した。既存研究に従い、キーワードを設定し、論文データベースで検索をすることで、多国籍企業のlocalizationに関連する既存研究を抽出した。雑誌のランク、および内容を精査した結果、約100本の論文が対象となり、それについて「どのような定義か」「どのような分析をしているか」「どのような結論が出ているか」をコーディングした。結果、localizationはreplacementとadaptationのいずれかの意味で用いられていること、複数の現地化を同時に扱っている研究はないことなどが明らかになった。これらを元にしたレビュー論文を、来年度投稿する予定である。
企業調査については、新型コロナウィルスの影響で現地調査ができなかったため、各自は公刊データの分析及びこれまでの調査データの見直しにより論文執筆を行った。例えば、新型コロナウィルスの蔓延が日本企業の現地化に与える影響について、JETROのデータから分析したものを、学会で報告した。また、技術実習生の派遣が海外子会社に与える影響という、現地化に関連する論文を上梓した。
以上の調査結果を元に、来年度中に仮説を構築し、可能であれば一度目の質問票調査を行う。ただし、新型コロナウィルスの蔓延の状況を踏まえて、質問票調査ではなく、その他の代替手段を取る可能性もある。
【研究代表者】