赤血球の運動に着目した開閉する心臓弁の流体構造連成解析手法の構築
【研究キーワード】
流体構造連成解析 / 弁 / 赤血球 / 接触 / マルチスケール解析 / 厚み / 流体構造錬成 / 心臓弁 / 流体構造連成
【研究成果の概要】
心臓弁の開閉に伴い、その内側を流れる赤血球を含む血液は1)流速3 m/sから急激に静止する強い非定常性、2)弁尖同士に挟まれるという 特異性がある。そのため、実験での観測が極めて困難であり、従来の数値計算でも再現できない。従って、弁の開閉やそれに伴う血流動態といった物理の解明には至っていない。本研究では、心臓の弁近傍の血流動態の解明に向け、流体構造連成解析手法を拡張する。具体的には、弁を 含む流体構造連成問題、高速流れ中の赤血球挙動、心臓弁開閉時の赤血球挙動の数値計算手法を順に構築する。統合した手法を用い、赤血球が 弁の開閉時にどのように振る舞うかを詳細に再現することで、血流動態を明らかにする。これにより、心臓弁の機能を損なう疾患の予防・治療 方法に、力学的視点から新たな指針を提示することを目的としている。
本研究では、心臓弁の開閉が起こるようなトポロジー変化が起きる空間を占める流体を、物体適合格子を用いて計算する手法を構築している。この方法は従来の信頼のある解析手法を損なうことなく同時にトポロジー変化も考慮できる方法で、トポロジー変化に特化した手法に比べ信頼性が高い。この方法による計算から、弁が閉じる際に流速は必ずしも徐々に小さくなるわけではないことが示されており、開閉時に生じる速度境界層を捉えることの重要性などがわかる。この事実から、他手法では議論しにくい開閉近傍の現象解明を数値計算により検証ができるようになっている。また赤血球を含む流体解析は多く場合、その影響度合いの高い毛細血管のような低速の箇所であるが、本研究では速度の高い領域での赤血球挙動を議論するために、Navier-Stokes方程式に基づく流体と赤血球の連成問題について取り組んでいる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
今井 陽介 | 神戸大学 | 工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)