国際法の形成における太平洋島嶼国の限界と可能性-日本の支援政策転換を目指して
【研究キーワード】
太平洋島嶼国 / 国際法の形成 / 海洋生物多様性 / 海底鉱物資源 / 気候変動 / 国際法 / 海洋法 / 境界画定 / 漁業 / 生物多様性
【研究成果の概要】
本研究では、太平洋島嶼国の実行に見いだしうる国際法の先端的事象を、この地域に特殊な国際関係に注意を払いながら、以下の(1)~(4)の項目に分けて調査してきた。すなわち(1) 海洋環境・生物資源の保全と利用(ナウル協定下で進むマグロ漁業日制限制度の実施強化、 国家管轄権外区域における生物多様性の保全(BBNJ)実施協定の審議における「隣接性原則」の提唱に見られる沿岸国主義傾向の強化とその背景など)、(2) 海底鉱物資源の探査と開発(クック諸島、キリバスほかのテンプレート化された海底鉱物法が他地域や国際海底機構(ISA)の立法・実行に与える影響など。また、太平洋島嶼国に活発に関与する韓国における深海底資源開発法についても追加的に研究を進めている)、(3) 気候変動と海面上昇(気候変動枠組条約の実施メカニズム立案で存在感を発揮した太平洋島嶼国の組織化が、気候変動問題関連の国際会議に与える影響など)、(4) 地域機関と海洋ガバナンス(国際海事機関(IMO)における2018年の温室効果ガス削減戦略をめぐる太平洋島嶼国の動き、欧州連合とタッグを組むマーシャル諸島など太平洋島嶼国主導の船舶大気汚染規制のレジーム構築など。さらに、トンガにおける火山噴火・津波災害に関わる協力体制の問題も追加して研究を進めている)である。
2021年度は、当初、上記諸項目に関係する国際立法や地域海洋政策策定の背景を分析するため海外訪問調査を予定していたが、感染症に関する社会情勢の影響を受けて実施できず、本年度も(その先もしばらく)状況変化が見込めないため、上記訪問調査や海外での研究会開催等はオンラインに切り替え、文献調査を主として実施している。
【研究代表者】