ナノ材料の地盤内移動特性解明と移動モデル構築
【研究キーワード】
ナノ材料 / ナノバブル / コロイド粒子 / 多孔質体 / 物質輸送 / 土壌 / 移動特性 / 汚染物質 / 移動機構
【研究成果の概要】
本研究では,土壌に供給されたナノスケール材料(NM)の土壌内分配・移動特性を明らかにし,NMの土壌内移動モデルを提案することを目的とした。NMとして,ナノ粒子についてはカルボキシルラテックス粒子(CL)を,ナノバブル(NB)については酸素と空気ナノバブルを用いた。これらNMを用いた室内カラム輸送実験から、沈着共存粒子の存在や多価イオンの存在が、NBまたはCLの多孔質体内輸送を阻害すること、間隙水のイオン強度の攪乱がNBまたはCLの脱離挙動に大きく影響を与えることを明らかにした。これらNMの多孔質内挙動はNMと充填粒子間の可逆・不可逆的な付着・脱離を考慮した移流分散方程式で表現することができた。
【研究の社会的意義】
国内外の各地で顕在化している土壌・地下水汚染問題の解決には,汚染土壌の効率的な浄化手法の確立が不可欠である。汚染土壌の浄化手法の中でも,近年,ナノスケール材料(例えば、ゼロ価鉄粒子等の人工ナノ粒子や酸素ナノバブル)の利用が注目されている。土壌浄化にNMを利用する際には,NMの土壌内移動とその運命予測が重要な鍵を握る。本研究成果から、土壌内でのNM挙動に影響を与える支配的要因を整理し、既存の多孔質体内の物質移動方程式を修正することで、NM挙動を表現することが可能となった。土壌環境へのNMのさらなる利活用を考える上で貴重な基礎的知見が得られた。
【研究代表者】