極低温冷媒を用いた空気予冷却器の着霜防止に関する研究
【研究分野】航空宇宙工学
【研究キーワード】
スペースプレーン / 極超音速ジェットエンジン / 空気予冷却 / 着霜 / プリクーラ / メタノール / 空気吸い込み式エンジン / 空気予冷却器 / 凝縮性物質
【研究成果の概要】
ターボジェットエンジンの飛行領域を極超音速領域まで拡大し、比出力、比推力を向上させるために、取り込んだ空気を熱交換器(空気予冷却器)で冷却してファンに送り込む空気予冷却というシステムが有望である。しかし、このシステムにおいて、主流中の水分が空気予冷却器の冷却面で凝結して伝熱性能を劣化させることが問題となっている。本研究ではこの問題に対し、主流空気中に凝縮性ガスを混入することにより、霜層内部の空隙を充填し密度を増加させ、霜層厚さの成長を緩和する方法を提案し、要素モデルにより実験した。
まず、数種類の凝縮性ガスを主流空気と混入することによって、混入ガスのどの様な性質が重要であるかを調査し、アルコールが効果的であり、中でもメタノールが最適であることを示した。また、着霜低減のメカニズムを解明し、物質の親水性と融点降下作用が非常に重要であること、冷却面の温度によって着霜軽減メカニズムが異なることを明示した。次に、メタノールの主流に対する適正混合比を把握するために、メタノールの混合比を変化させて実験を行い、主流中の水蒸気量に対して、圧力損失の低減という観点からは0.5倍、伝熱性能低下の防止という観点からは1.2倍のメタノールを混合すればよいことが分かった。また、主流の相変化が着霜へどのように影響するかを調べるため、当実験の冷却面温度でも相変化が起きる二酸化炭素を主流として用いて実験を行い、主流の相変化により着霜量は増加するが、これに対してもメタノールの混合は効果的であることを確認した。最後に、具体的なエンジンに搭載する方法についても検討を行い、液体水素を燃料とするスペースプレーン用ターボジェットエンジンにおいては、燃料の約3%のメタノールが必要であることを示した。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】2,400千円 (直接経費: 2,400千円)