シリカ系自己修復機能材料の設計と展開
【研究キーワード】
自己修復材料 / シリカ / ナノ構造 / 自己組織化 / シロキサン / 自己修復
【研究成果の概要】
当該年度はシロキサン系自己修復材料に関して下記の検討を行った。
1)自己修復性有機シロキサン系ラメラ薄膜の設計
エチレン架橋型アルコキシシランと界面活性剤を用いた自己組織化プロセスで作製される有機シロキサン系ラメラ薄膜は高いクラック修復能を有するが、膜の硬度や基板との密着性が低いという問題があった。そこで、界面活性剤二分子層の厚みよりも長い分子サイズを有する有機架橋型アルコキシシランを新たに合成し、これを有機シロキサン系ラメラ薄膜の作製時に一定の比率で添加することで、ラメラ構造の層間を共有結合で架橋することを試みた。その結果、クラック修復能力を維持しながら、薄膜の硬度と密着性の大幅な向上を達成した。
2)かご型シロキサンを用いた自己修復材料の合成
シロキサン骨格のミクロ構造制御に基づく新しい自己修復材料の合成について検討した。二重のトリシロキサン環構造を有するかご型シロキサンオリゴマーをビルディングブロックとして用い、これを柔軟なポリジメチルシロキサンで3次元的に連結することで、透明なシロキサンエラストマーを得た。このエラストマーを切断した後、切断面を密着させた状態で高湿度の雰囲気下で加熱したところ、切断面が接着されることを確認した。トリシロキサン環はその歪みのために水存在下では比較的容易に開裂しシラノール基を生成する。実際、NMRやラマン分光分析によって、トリシロキサン環の開裂が確認された。破断面の表面に形成されたシラノール基同士の脱水縮合によって切断面が接着されたと推定された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)