フェムト秒テラワットレーザーを用いたセラミックスの精密加工
【研究分野】材料加工・処理
【研究キーワード】
フェムト秒レーザー / レーザー加工 / 誘電破壊 / セラミックス / テラワット / 光通信 / 微細加工 / 衝撃波
【研究成果の概要】
初年度は、テラワットレーザーシステムの大型真空チャンバー内にターゲット位置を外部から精密に制御できる真空対応5軸ステージを設置した。予備的な加工条件洗い出し実験としてシリコンが誘電破壊を生じる臨界的な条件を探索した。300ps幅のレーザー光での臨界フルーエンス値は0.4J/cm^2で、既存データの外挿曲線上に一致した。また、真空環境と大気中とでは、後者の方が臨界条件が低下した。次年度では,溶融石英,光学ガラス(BK-7),アルミナ単結晶,弗化カルシウム単結晶のフェムト秒レーザー照射によるアブレーション閾値を各種の方法で求めた。すなわち,(1)レーザー散乱光強度をフォトダイオードでモニターして散乱強度が急激に変化するレーザー照射エネルギー密度の点を閾値とする方法,(2)照射後の表面クレーターのサイズに対してレーザーの空間プロフィルをガウシアン関数としてフィッティングして閾値を求める方法,(3)多光子吸収のみでレーザーエネルギーが吸収されるとしてモデル式を誘導してエッチング率にフィットさせることで閾値と多光子吸収係数を求める方法,のそれぞれを独立に計測した。その結果,アルミナ単結晶では(1)0.35J/cm^2,(2)0.37J/cm^2,(3)0.37J/cm^2,と各方法による閾値が良く一致した。これらの閾値の材料依存性は,バンドギャップの値と相関があったが,単純な線形関係にはならなかった。弗化カルシウム単結晶は機械的強度が小さいため割れが入り,アブレーション過程が非熱的であっても,その反作用として生じる衝撃波や残留熱応力の効果を無視できないことが分かった。さらに,マスク法による文字や図柄の除去加工を試みたが,深さ方向には切れ味の良い加工が行える一方,文字や図柄の境界がレーザー光の干渉のため不明瞭であった。光学系を検討する必要があるが,実用化の目処が得られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
竹中 久貴 | NTTアドバンストテクノロジー(株) | 材料開発・分析センター | 研究職 |
弘中 陽一郎 | 東京工業大学 | 応用セラミックス研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
中村 一隆 | 東京工業大学 | 応用セラミックス研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】13,500千円 (直接経費: 13,500千円)