安心安全な社会の構築に向けての革新的抗ウイルス材料の創製と活性発現機構の解明
【研究キーワード】
ウイルス / 希土類 / モリブデン / 抗ウイルス / 溶出 / ヨウ素酸 / La / Mo / 複合酸化物 / 新型コロナウイルス / 薄膜
【研究成果の概要】
昨年度ガンマ-Ce2Mo3O13はエンベロープを持たないウイルス(Qβ)に対する活性が低く、エンべロープ型ウイルス(Φ6)に対しては高い活性を発現することを明らかにしたが、その発現機構を詳細に検討した。Qβに対する活性は、希土類イオンによるカプシドの負電荷の中和とウイルスの特定部位へのポリ酸の吸着が影響していることが示唆された。一方Φ6に対する活性は、活性酸素種の生成と、Ceとモリブデン酸が形成したヘテロポリ酸の吸着が影響していることが考えられた(論文投稿中)。
また、撥水性シランを用いて固体表面の撥水性と抗ウイルス活性との関係性について系統的に検討を行った結果、撥水性が抗ウイルス活性に及ぼす影響は減少率で1.5桁程度であり、今回我々が得た希土類モリブデン酸系複合酸化物の抗ウイルス活性では、表面の撥水性の寄与は大きくないことが明らかになった。
室温での沈殿法によりアモルファス状のCe(IO3)4を作製し、また、溶液の混合により生じた沈殿を焼成することでCe(IO3)3, α-La(IO3)3, δ-La(IO3)3の各粉末試料を作製した。これらの試料はΦ6に対してもQβに対しても高い抗ウイルス活性を示した。これらの抗菌・抗ウイルス活性には、試料から漏出したランタンやセリウムイオンの吸着、セリウムイオンの酸化力、ヨウ素酸イオンによるpHの変化、酸化力等が影響を及ぼしていることが考えられた(論文執筆中)。
昨年度暗所下で高い抗ウイルス活性を発現することを明らかにしたCoOx担持LaドープCeO2について論文投稿を行い、昨年度のJCS-JAPANの年間優秀論文賞に選出された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
砂田 香矢乃 | 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 | 光触媒グループ | 研究員(任期有) | (Kakenデータベース) |
磯部 敏宏 | 東京工業大学 | 物質理工学院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)