大気中フミン様物質の有害有機化学物質と重金属イオンの大気圏動態に及ぼす影響評価
【研究分野】環境影響評価・環境政策
【研究キーワード】
有害有機大気汚染物質 / 大気中フミン様物質 / マイクロ固相抽出 / 雨水 / 霧水 / 露水 / ヘンリー則 / 揮発性有機化合物 / 降水 / エアロゾル / 多環芳香族炭化水素 / 固相マイクロ抽出 / 富士山 / 降水洗浄機構 / 表面張力 / 増感光分解 / 重金属
【研究成果の概要】
本研究期間中に以下のことを明らかにした.
1)ヘッドスペース固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法による降水中VOCsの迅速定量法を検討した.その結果,0-50nMの範囲で直線性が得られ,0.01〜0.14nMの検出限界が得られた.また,降水試料からのVOCs抽出効率は良好であることを明らかにした.
2)大気中ではトルエンとナフタレン類が高濃度であり,降水中ではトルエン、キシレンが高濃度で明らかにした.大気中VOCs濃度は夏に高く,冬に低い傾向が見られたのに対し,降水中VOCs濃度は夏に低く,冬に高くなる傾向があった.
3)降水中VOCs濃度の実測値は,大気中VOCs濃度と温度補正したヘンリー定数とから求めた計算値より明らかに高いことを明らかにした.
4)雨水中全フミン様物質の増加に伴い,二環芳香族炭化水素がヘンリー則からの予測値以上に溶解することが分かった.大気中フミン様物質のモデル物質として,市販の試薬フミン酸を用いた室内実験を行ったところ,水相フミン酸濃度の増加に伴い,二環芳香族炭化水素の気液分配係数が増加することが明らかになった.しかし,雨水および露水中VOCsの高濃縮を説明することはできなかった.
5)水圏フミン物質は増感剤としての作用が指摘されていることから,降水中VOCsの増感光分解の可能性を検討した.その結果,フミン酸存在下の方が非存在下よりもナフタレン類濃度の光分解速度が大きいことが分かった.予備的検討ではあるが,降水中VOCsのフミン様物質による増感光分解の可能性が示された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
原 宏 | 東京農工大学 | 農学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】15,700千円 (直接経費: 15,700千円)