日本企業における開発戦略と企業内外のシステム的統合化に関する研究(副題:研究開発・新製品開発と企業内組織・企業間関係のシステム的統合化について)
【研究分野】経済政策(含経済事情)
【研究キーワード】
システム統合 / デザイン・イン / 技術戦略 / 研究開発 / 技術開発 / 製品開発 / 先行開発 / イノベーション / 競争戦略 / 開発戦略 / 開発体制
【研究成果の概要】
本研究の目的は、1)開発システムが競争力の要であり日本企業の優位性の源泉であるとすれば、日本における製品開発の実態、製品開発と研究・開発との関係を明らかにし、2)開発活動を軸に、企業内外の諸活動・組織がシステム的に統合されてきたとすれば、その統合形態を析出することである。研究の結果、1.日本企業の研究開発は、画期的製品の開発よりも、既存コンセプトの実用化や既存製品の飛躍的改良を成し遂げる上で重要である。今後は、長期企業戦略と整合的な技術戦略を明確にすることが重要と論じられる。2.市場における競争的地位と研究開発活動の相関関係から、研究開発活動が活発である電子産業においても、競争的地位によって研究開発活動の内実がかなり異なることを明らかにした。3.トヨタ自動車での原価企画の展開を分析し、原価企画は、原価低減の手段・技法から総費用管理の概念装置と位置づけられることを明らかにした。4.自動車の製品開発を自動車メーカーと同部品メーカーとの開発プロセスにおける相互開発体制などから検討し、開発プロセスの早い段階から部品メーカーが参加することが開発の効率性を高める上で寄与していることを明らかにした。5.鉄鋼業の高炉メーカーは、大手ユーザーとの継続的取引関係を前提に製品開発し、ユーザーの複数購買政策を通じて技術水準を向上させたが、高炉メーカー間の同質的な開発競争を増長させ、開発コストの負担など製造コスト全般を反映した製品単価の引き上げを実現できなかったため自らの業績を悪化させたと論証している。6.発展の理由と課題を示した。7.小売企業による独自企画商品・製品開発の展開を分析し、価格切下げ型が支配的になる条件と制約条件を明示した。8.1980年代までは有効に機能し、企業利益にも貢献した日本企業の開発システムが岐路にあることを明らかにした。
【研究代表者】