既存荘園村落情報のデジタル・アーカイブ化と現在のIT環境下における研究方法の確立
【研究分野】日本史
【研究キーワード】
豊後国田染荘 / 美濃国大井荘 / 田園空間博物館 / 重要文化的景観 / 千年村 / GISソフト / 和名抄郷 / 城下町 / 多層荘園記録システム / 王領 / 湯沐邑 / 戦時ハザード / 開発特区 / 水辺環境論 / 自然頭首工 / 頭首工 / 用水池 / 大垣八幡神社 / 勅施入 / 遮那院 / 大中臣氏 / 環境歴史学 / 開発御厨 / 役夫工米 / 日本史 / 既存荘園村落情報 / 笠縫堤 / 大垣輪中 / 大井荘 / 大垣市立図書館 / 条・里・坪 / 四至 / 防災 / 大井莊 / 東大寺 / デジタルアーカイブ / GIS / 荘園 / 茜部莊 / 条里制 / GIS / デジタル・アーカイブ / 圃場整備事業 / 国東半島荘園村落遺跡詳細分布調査
【研究成果の概要】
1980年代に保存を前提とする先駆的な調査がなされた田染荘(たしぶのしょう、豊後高田市)をパイロットモデルと位置づけ、先端的な研究を可能とする荘園として美濃国大井荘(大垣市)を取り上げ、これをカレントモデルとした。
田染荘は農林水産省による田園空間博物館事業として整備され、文化審議会の選定により重要文化的景観として保存と活用が進められている。後者については、GISソフト等を駆使し、文理融合の千年村理論などを取り入れて研究を進めた結果、従来の研究方法では明らかにできなかった生成・発展・消滅の過程を示すことが可能となり、荘園の枠組みを残しつつ近世の城下町に変貌したことが明らかとなった。
【研究の社会的意義】
GIS(地理情報)ソフトを活用することによって複雑な既存荘園村落情報を整序することができ、これによって従来不可能であった荘園の詳細な復原研究が可能となった。その結果、荘園の生成について複眼的な考察が生まれ、実態的な研究が促進されて和名抄郷から形成される一般の村落と相違する荘園の生成過程を示し得た。
さらにカレントモデルによって荘園から城郭へと変遷する状況を考察する事ができ、荘園によって刻まれた地勢的構造が城下町へと引き継がれ様相を明らかにする事が可能となった。こうして、荘園の生成・発展・消滅に関する従来の説は払拭され、荘園が日本の伝統社会を形成する大きな要素であることが明らかとなった。
【研究代表者】