ナノジオサイエンスに基づく環境材料の探索と創出
【研究分野】地球・資源システム工学
【研究キーワード】
ナノジオサイエンス / 環境材料 / 生体鉱物 / 焼成 / 金属酸化物 / 固体塩基 / 結晶性
【研究成果の概要】
ターゲットイオンを新興汚染物質および放射性核種スロゲートに絞り、フッ素(F^-)、ホウ素(H_3BO_3)、Sr^<2+>についての活性物質として、Geo-Mimetic Materialsからそれぞれ、動物骨材由来のハイドロキシアパタイト、マグネサイト由来の酸化マグネシウム、微生物が合成したマンガン酸化物を選定した。まず、改質条件によってそれぞれの活性物質のキャラクタリゼーションをXRD、XAFS/EXAFS、SEM-EDX、XPS、TEM、CO_2-TPD、比表面積測定、Raman、FTIRなどの組み合わせによりおこなった。フッ素(F^-)、ホウ素(H_3BO_3)の捕捉材として選定したマグネサイト由来の酸化マグネシウムでは、焼成条件によって、固体塩基特性が変化し、水圏におけるフッ素(F^-)、ホウ素(H_3BO_3)の捕捉容量に影響を与えていることが分かった。フッ素(F^-)、ホウ素(H_3BO_3)の酸化マグネシウムによる捕捉機構が崩壊的収着であることから、固体の表面積の大きさよりも、固体塩基特性が重要なファクターとなっていることを見出した。また、Sr^<2+>の捕捉材として選定した動物骨材由来のハイドロキシアパタイトでは、やはり焼成条件によって、純度および結晶性が向上し、これらによって単位表面積当たりのイオン交換容量が増大することを見出した。これらの結果から、ミクロ領域の特性ではなく、ナノ領域特性が、水圏での稀元素との反応に影響を及ぼしていることを複数の事例にもとづき明らかにしたといえる。微生物が合成したマンガン酸化物それ自身は低結晶性層状バーネサイトに近く、自然界では生物酸化の過程で、種々の重金属を取り込み、バーネサイトに対する単純な吸着ではなく、共沈や共吸着に近い。それにより、単純な吸着以上の重金属取り込み量が得られており、微生物が合成した低結晶性層状バーネサイト中の空隙のサイト数が多く、Mn(III)含有率が低いほど、重金属取り込み量が大きくなることをEXAFS解析より明らかにした。
【研究代表者】