生体軟組織のin vivoひずみ計測法の開発
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
材料力学 / 計算個体力学 / バイオメカニクス / X線CT / 材料試験 / 画像処理 / B-スプライン法 / 逆問題 / 計算固体力学 / 医療画像 / B-スプライン関数 / 最適化法
【研究成果の概要】
本研究の最終目的は,生体材料モデル構築のため,材料試験法を開発することである.その端緒として,代表的医療画像機器であるX線CTを用いて,ある時点を基準とした形の変化が観測できるとの前提に立ち,並列計算を活用し,高速で生体内部の変位場・ひずみ場を計測する手法を開発した.
手法概要 変形前後の同一物体に関して,それぞれの状態で,十分小さな間隔をおいてX線CT画像を撮影し,2組の三次元画像データを構成する.未知の係数を含むB-スプライン関数基底で変位場が近似できるとして,実際に計測された画像データの画素値分布と,未定係数を仮に定めて設定した仮想変位場にしたがって変形前画素値分布を仮想的に変形させた画像データ間の誤差を最小化するとの問題設定で,変位場同定の逆問題を解く.ひずみに関しては,変位場の解析的空間微分値から算出する.
高速化・安定化の検討 非現実的な変位場を同定することがないよう,いくつかのサンプル点に対して,非圧縮の制約条件を課し,ペナルティ項として付加して修正目的関数を設定した.誤差最小化の手法として,準ニュートン法の一種であるLevenberg-Marquardt法を適用した.これらの誤差最小化手法に関する工夫により,変位場同定に要する時間が激減した.また,ペナルティ係数等の設定方法について,一般性の高い方法を考案した.
並列計算アルゴリズムの開発 さらなる高速化を目指して,並列計算の可能性を検討した.B-スプライン基底の局所性より,提示の手法は並列化計算と整合性が高いことがわかった.アルゴリズムを並列計算向けに改良したところ,8ノード並列で95%の並列化効率が達成された.
以上の検討により,実用に耐え得る,ひずみ場計測手法が開発できたものと考えられる.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,800千円 (直接経費: 3,800千円)