福島の土壌における放射性セシウムの有機コロイドによる移動促進機構に関する研究
【研究分野】地域環境工学・計画学
【研究キーワード】
セシウム / 有機物 / 全炭素量 / CN比 / 主成分分析 / 放射性セシウム / コロイド
【研究成果の概要】
前年度までに、複数回、地表近傍のCs分布を検討するため、飯舘村内の調査地においてリター被覆、草本、裸地表層等地表面の状態の異なる地点で不かく乱試料を採取し、土壌の理化学性の分析と放射性Cs濃度測定を行ってきた。このデータセットに対して、統計分析を行った。主成分分析では、地形等を含む第一主成分が28%、有機物量、CN比等からなる第二主成分が24%を占める結果となった。さらにベイズモデルを適用し、有機炭素量、水分、乾燥密度、地形ならびに地表のリターの有無が説明変数として重要であることを示した。さらにブートストラップ法、Lindenman, Merenda and Gold(LMG)法を用いて各パラメータの95%信頼区間を評価した。その上で地表面の状況の異なる12地点について土壌中の放射性Csの深さ分布を推定する線形モデルを提案した。提案したモデルは、地表面において土壌流亡などのかく乱がない地点では、r2が0.84以上と良い結果を示した。かく乱が入った地点ではr2が0.5から0.7程度になった。
Csの移動におけるコロイドの寄与を検討するため、前年度、コロイド成分の粒子密度の推定を行ったが、今年度は、コロイドの物理化学性とCs保持についてさらに検討した。その結果、CN比の低いコロイド画分に放射性Csの大半が収着していた。この画分は、有機炭素含量が低いわけではなく、無機性の粘土鉱物というよりは、有機物と粘土粒子の複合体と推察される。この画分のCN比が低い(窒素含量が高いことを意味する)点については、今後さらに検討すべき結果と考えている。
【研究代表者】
【研究種目】特別研究員奨励費
【研究期間】2014-04-25 - 2017-03-31
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)