多元文化社会アメリカの教育におけるオートノミーとコントロールに関する史的研究
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
多元文化社会 / アメリカ合衆国 / 教育史 / オートノミー / コントロール / アメリカ / 教育 / 多元文化 / アメリカ教育 / 歴史
【研究成果の概要】
研究課題に対して、研究分担者と研究協力者あわせて15名の論考によって報告書を作成する。研究課題を4グループに分けて研究を推進したが、以下のように反映している。
第1グループは、教育におけるオートノミーとコントロールという課題における原理的な考察をまとめた。田中智志は、教育における批判理論の構築をめざし、小玉重夫は、ハンナ・アレントの理論を援用して、社会的なるものと政治的なるものの間の教育理論を模索した。北野秋男は聖職者チャニングの自己陶冶論の限界を考察した。
第2グループは、教育の史的展開を大きな範疇で捉えている。植山剛行は連邦と州政府との関係をユタ州を例にとって考察し、永塚史孝はニューヨーク州における教育実践に求めた。住岡敏弘は黒人の公教育制度創設に求め、松木久子はユダヤ系アメリカ人と進歩主義教育運動との関係を究明した。
第3グループは学校教育や高等教育に研究の場を設けている。北野幸子は公立幼稚園の普及と保育者の役割の変容を詳細にした。和田恵美子はニューヨーク市の自己統治学校における自己統治の教育を考察し、宮澤康人は大学における選択科目制度の歴史を展望している。立川明は世界大戦と大学の教養教育との関係を解きあかした。
第4グループは多元文化社会の教育を、村田邦子がペンシルバニア州のドイツ系移住者においてその教育実践をチャリティ・スクール運動を通して明らかにした。藤本茂生は子どもとジェンダー、エスニシティの問題を初期の歴史において考究した。佐藤哲也もヒューマニズムのジェンダー・イデオロギーを問題として扱い、坂本辰朗はセミナリーからカレッジへと進歩を遂げた女性大学におけるジェンダーの問題を取り上げた。
報告書の内容は多様な史的問題を扱っているが、課題に収斂する論考ばかりである。
【研究代表者】