音響共鳴型テンソルセルによる高度触覚デバイスの研究
【研究分野】計測・制御工学
【研究キーワード】
触覚センサ / 人工皮膚 / 音響計測 / 超音波 / テレメトリ / 応力計測 / 滑べり予知 / 摩擦係数 / 音響共鳴 / 変形計測
【研究成果の概要】
音響共鳴型テンソルセルのデバイス作製技術、およびそのセンサの応用、さらに昨年度提案されたテレメトリックスキンという新しい人工皮膚構成法について研究を進め、それぞれに顕著な成果を得ることができた。音響共鳴型テルソルセルは、弾性体内部に設けた空洞内部の空気の音響共鳴周波数からその空洞の変形を検出するもので、硬い要素を用いずに、弾性体内部の多自由度の変形を高い精度で計測する。本年度はその微小超音波振動子を安定均質に作製する技術を確立するとともに、従来の触覚センサでは取得できなかった種々の触覚情報、例えば対象表面の摩擦係数までもが検出可能になることが示された。なおこの超音波素子の開発の過程で、固体表面と空気との熱の高速授受に基づく新しい概念の超音波デバイスが提案されている。これは現在実装を進めている素子よりも機械的な頑強さに優れ、かつ対ノイズ性に優れた分布センサを容易に実現するだけでなく、多くの分野で応用可能な新しい音響デバイスへと発展していく可能性がある.これまでに基礎理論を確率し、ポーラスシリコンによる試作デバイスによって超音波の発生を実験的に確認した。
テレメトリックスキンとは無配線で電力供給を信号伝達が可能なセンサチップを触覚素子とし、それらを柔軟材料の混入成形することによって人工皮膚を得ようとするものである。個々のチップへの配線が不用であり、触覚を有する自由形状の柔軟体が容易に作製可能になるものと期待されている。本年度はセンサチップの試作と評価を終え、センサチップへ電力を供給するためのグランドコイルと複数チップからの信号検出回路をも具体化した。今後ロボットへの実装を開始する。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)