中世東国武家文書の成立と伝来に関する史料学的研究-陸奥白河結城家文書を中心に-
【研究分野】日本史
【研究キーワード】
日本中世史 / 東日本 / 武家文書 / 伝来 / 料紙 / 白河結城家 / 仙台藩 / 秋田藩 / 武家 / 奥羽 / 古文書 / 顕微鏡 / 中世史
【研究成果の概要】
「白河結城家文書」は、中世、東北と関東のつなぎ目にある白河の地を押さえ、京都や鎌倉を含む各地の勢力から重要視されていた白河結城家が伝えた古文書で、800通を超える数をもつ東国有数の武家文書である。しかし、戦国から近代にかけて同家を見舞った厳しい歴史のなかで、文書は東日本の各地に分散したため、現在の研究水準のもとで全体を見わたした史料学的研究が必要と考えた。
「白河結城家文書」の原本につき、所蔵者の意向で調査が許されなかった1か所(須賀川市)を除くすべての所蔵先で調査を実施し、原本の詳細な観察調査と1点ごとの調書作成、デジタルカメラによる数種類の写真撮影(全体、部分、顕微鏡など)を実施した。調査地は、白河・東京・川崎・仙台・多賀城・津・蒲郡・秋田・大館・福井の各地に及んだ。そのほかに、古文書の材料となる「紙」についての知見を深めるべく、高知県立紙産業技術センター(高知県いの町)へ研究出張に赴いた。
原本調査を踏まえた研究の成果を、随時総括するために、1年目に2回、2年目に1回、3年目に2回の研究会を、東京大学史料編纂所または調査先の各地で開いた。また、平成18年11月に、白河市で、地元市民をおもな対象として、シンポジウムと現地史跡見学会で構成される「白河結城文書サミット」を開催し、研究成果の社会還元をはかった。以上の機会に本研究メンバーが発表した研究成果は、「研究成果報告書」に13編の論文として結実した。これは今年度に一般書籍として刊行する予定である。
採集した厖大な画像・文字データを整理統合して、データベース「白河結城文書総合目録」を作成し、全データを収録したDVDを作成した。その一部のデータを抽出したものを、研究成果報告書に付録として掲載した。このデータベースを踏まえて、今年度に史料集「白河結城文書集成」を出版助成を得て刊行すべく、現在編集作業を進めている。
【研究代表者】