オートエンコーダによる触察時振動データからの触感知覚特徴量の抽出
【研究キーワード】
触感 / 特徴量抽出 / オートエンコーダ / 機械学習 / 振動 / 触感知覚 / 特徴量
【研究成果の概要】
外界を認識する上で視聴覚同様に重要な役割を果たしている触覚に関するハプティクス産業は2030年には400億ドル市場に成長するとも言われている.このため,触感の正確な計測は重要な課題のひとつであり,本研究は触感センサで計測した振動データから触感の違いを表す潜在的な特徴量を抽出し,ヒトが知覚する触感を精度よく計測する手法を確立することを目的としている.
一般的に,物体の触感を定量的に評価するためには被験者による官能評価実験が用いられているが,統計的評価には多くの被験者が必要であり,時間的,経済的コストが高い.このため,触感センシング技術が注目されている.このため,2021年度は以下の研究を実施した.はじめに,触感センサを開発した.触感センサは硬さの異なる2層のシリコーンゴム層によって形成され,各層に2つのひずみゲージを備えている.この触感センサが表面をエンボス加工されたプラスチックサンプルをなぞった際の振動情報を取得した.つぎに,ヒトが指で物体を触察した際に,指に発生する振動に起因した神経発火から特徴量を抽出している性質に倣って,ディープオートエンコーダを使用してセンサで取得した振動情報から特徴量を抽出した.並行して,官能評価実験によって被験者が同様のプラスチックサンプルを触察した際の評価語に対するスコアを取得した.最後に,サンプルに対して,振動情報から抽出した特徴量と官能評価スコアを繋ぐ触感推定モデルを学習した.また,振動情報から未知のサンプルの触感を推定し,その精度を評価した.この結果,開発したモデルは7つのサンプルのうち少なくとも4つの触感を適切に推定できることを示した.
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)