マイクロ・フレキシブル機構の加工を可能にする光造形加工システム
【研究分野】機械工作・生産工学
【研究キーワード】
マイクロ・フレキシブル機構 / 光造形 / マイクロマシン / 自由液面 / 液面差制御 / ラピッド・プロトタイピング / くぼみ / 微細加工 / 空気制御 / 樹脂量制御 / レーザー / 液面制御 / 気泡
【研究成果の概要】
本研究は、フレキシブルな3次元マイクロ機構を製作することを可能にする光造形システムを提案、設計、試作することを目的として研究を行なった。その成果は次のとおりである。
(1) 三種類のくぼみを制御する方法を提案、検討、実験した。
(a) 空気圧制御: 液体樹脂にノズルを挿入し、密閉したノズル内の空気に圧力をかけてくぼみを形成し、圧力を調整することでくぼみのレベルと形状を制御する。この方法では、大気圧と温度の変動の影響によりくぼみの液面が激しく変動することが判明した。10μmよりも高い制御精度を求めるなら、装置全体を完全に大気圧と遮断し、0.01℃精度で温度制御する必要がある。
(b) 樹脂量制御: 樹脂を樹脂タンクに密閉し、露光部分のみ穴が空いて空気と接しており、そこでくぼみを形成する。樹脂タンク中の樹脂量の調整によりくぼみのレベルを制御する。この方法では、大気圧と温度の影響が少なくなる。しかし、移動板の精度や摩損の問題が生じる。
(c) 自由液面差制御: くぼみを形成するノズルと樹脂タンク中の液面を両方開放し、くぼみ液面と樹脂タンク中の液面との液面差を調整するによって、くぼみのレベルを制御する。この方法では、上述二つ方法の問題はなくなり、制御しやすい。装置も簡単である。
(2) くぼみ形状の数式化モデルの解析に基づいて、くぼみレベルや安定性に影響する要素を分析した。その結果に基づき、液面差制御法を採用した造形装置を設計、製作した。
(3) 液層厚さの検討を行なった。液層は7μm以下薄くなると、樹脂内にある希釈剤の揮発により、くぼみの液面は自励振動が生じ、最後にテーブルに張り付いてしまう。このため、現在の実験装置構造での造形可能の液層厚さは、7μmが限界であることがわかった。
(4) 製作した造形装置により,マイクロ・フレキシブル造形物(Cantilever)を造形、本研究の有効性を検証した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山田 孝弘 | 研究開発部 | 研究員 |
村上 存 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】13,300千円 (直接経費: 13,300千円)