磁場誘起結晶相転移の研究
【研究分野】固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
【研究キーワード】
希工類金属 / X線回折 / 磁気相転移 / 磁気相図 / 格子変調 / 磁気弾性効果 / 磁歪 / 希土類金属 / 結晶格子変調 / ペロフスカイト / 電荷整列 / 比熱
【研究成果の概要】
磁場誘起結晶相転移を引き起こす様々な物質のうち、まず希土類金属をとりあげ、Dy,Ho及びErの磁場誘起相転移を調べた。
(1) Dyのヘリカル領域のc軸格子定数の磁場依存を測定し、ヘリックスからファン磁気構造への転移を調べた。その結果、低温側ではc軸格子定数が不連続、即ち1次相転移であるのに対し、ネール温度近傍では2次相転移に変化することがわかった。また、ヘリカル領域では結晶格子の変調構造が見いだされた。
(2) Hoは、ある磁場範囲でへリファン磁気構造があらわれる。これに伴い結晶が変化することを観測したが、同時に、結晶の格子変調の存在が磁場中X線回折によって見出された。ここで現れるヘリックス、へリファン構造に伴う格子変調の磁場及び温度についての出現範囲、性質を詳細に調べた。
(3) Erの単結晶の磁化困難軸方向に磁場をかけた場合の磁気相図を調べた。X線では磁気構造の変化に伴う結晶構造の変化を直接観測する。結晶変化は単に格子定数や構造変化だけでなく、磁気モーメントの変調に伴った格子の変調の磁場に対する変化を見いだした。これらを、さまざまな磁場と温度について詳細に観測し、磁気相図を決めることが出来た。
(4) 以上の実験結果に対して、磁気弾性相互作用を仮定して、格子変調や格子定数の不連続変化を説明することができた。また、特にErの場合には、中性子回折では不明確であった磁気構造を、格子変調の振る舞いから推定することができた。
【研究代表者】