ダイオキシンなどの難分解性化合物のバイオレメディエーション
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
ダイオキシン / Bioremediation / Bioaugmentation / 遺伝子転移 / Phytoremediation / モニタリング / 形質転換植物 / Phytoremedhiation
【研究成果の概要】
1.2種類のダイオキシン分解菌[dibenzofuran(DF)資化菌Terrabacter sp.DBF63株とcarbazole(CAR)資化菌Pseudomonas resinovorans CA10株]について、各々の塩素化ダイオキシンに対する分解能を調べた。その結果、CA10株のCAR初発酸化酵素は、本実験で使用した全ての1〜3塩素化ダイオキシンに対して分解活性を示したが、DBF63株のDF初発酸化酵素も、2,7-DCDD以外の基質を全て分解できることが示された。これら塩素化ダイオキシン分解菌について、ダイオキシン分解条件の最適化を行った。これらの細菌を用いてダイオキシン実汚染土のバイオレメディエーションを試みたところ、CA10株またはDBF63株の1回添加・一週間の反応でそれぞれ8.3%及び10%の塩素化ダイオキシンが減少した。
2.Fluorogenic probe assay、competitive PCR及び内部標準菌体を組み合わせて使用することにより、carAa遺伝子とCA10株の数に関して、迅速、高感度かつ正確な定量を行うことが可能となった。加えて、このリアルタイムcompetitive PCR法とGFPマーカーを用いた直接計数法を併用することで、土壌中のcarAa遺伝子とCA10株の消長についてもモニタリングが可能となった。
3.CAR分解菌Pseudomonas sp.K23株を供与菌、フェノール分解菌Pseudomonas sp.DS1株を受容菌とした接合実験を行ったところ、受容菌当たり約10^7の頻度でCAR分解能を獲得した形質転換株を得た。これら形質転換株はDS1株由来であり、メガプラスミドpCAR2を保持していることが示された。
4.DBF63株のダイオキシン分解系メタ開裂酵素DbfBの細胞質、小胞体、アポプラストでの発現plasmidを構築し、シロイヌナズナ、タバコの形質転換を行った。得られた形質転換植物のRT-PCR・ウエスタン解析により、当該遺伝子が転写、発現していることが示された。DbfB発現植物体を液体培養し、培養液中の活性を測定した結果、アポプラスト発現区で顕著な活性が検出され、植物体外へのDbfB分泌も示された。
【研究代表者】