伝熱面微細構の三次元多孔質造形と表面改質技術による冷却限界の飛躍的向上
【研究キーワード】
沸騰熱伝達 / 限界熱流束 / 付加造形 / 急冷凝固 / 多孔質体 / 表面改質 / 多孔質構造 / 沸騰冷却 / 冷却限界
【研究成果の概要】
熱流束を最大10 MW/m2まで増大させるために、熱流束を集中させる加熱構造や耐熱材を用いて既存設備を改良した。予熱器と凝縮器を追設し、効率的且つ精度良い沸騰伝熱実験が可能になった。
金属3Dプリンターを用いてサブミリの多孔質体で格子形状や放射形状の構造を有する伝熱面を7体、三次元造形した。造形パラメータは形状とポロシティーとした。沸騰伝熱実験を行った結果、実験範囲内ではポロシティーの影響は限定的であるが、放射状に多孔質体を配置し、伝熱面中央に効率的に水供給できる構造が最も高い限界熱流束を得られることが判明した。構造を設けない平滑面の限界熱流束が1.08 MW/m2に対し、前記構造は2.29 MW/m2に到達した(令和3年度大野倫太郎氏修士論文、並びに学術論文投稿済)。
対比試験として、溶融金属を急冷凝固法させた数ミリの不定形多孔質体構造の伝熱面を4体作製した。沸騰伝熱実験を行った結果、限界熱流束は0.71 MW/m2に減少することを確認した。しかしながら限界熱流束に至るまでの沸騰熱伝達は平滑面よりやや高い値を示している。急冷凝固させた数ミリの不定形多孔質体構造は、伝熱面への水供給を促進するが、気泡の離脱を阻害することが顕著となり、限界熱流束は低下すると考えられる(国際会議NUREH19にて公表済み)。
以上より、伝熱面上の構造としてはサブミリの多孔質体で気泡の離脱を阻害しない構造が重要であり、次年度以降の伝熱面構造の最適化に資する結果が得られた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)