高荷電微粒子生成用イオン源の開発及び超高速微粒子の衝突現象の解明
【研究分野】原子力学
【研究キーワード】
微粒子 / ダスト / 星間塵 / 微粒子イオン源 / 超高速衝突 / バン・デ・グラーフ加速器 / 静電加速器
【研究成果の概要】
微粒子(本研究では直径0.1〜1μm程度の粒子を扱う)を高エネルギー加速器で加速して数km/sから100km/sの超高速にした後、種々の材料(金属、セラミックスや高分子)と衝突させ、そのときに起こる現象を調べようというのが本研究の目的である。
微粒子が固体に衝突した際にはプラズマ状態になることや衝撃波を生じたりすることで、原子分子イオン衝突とは違った現象を引き起こし、固体表面改質や構造変化をもたらすと考えられる。また、宇宙微粒子(ダスト)の研究や地球周りの環境問題になっているスペース・デブリの研究とも密接に関連しており、そのための微粒子検出器の開発やシミュレーション実験を行う必要がある。そのために現用では1回の実験で1種類の微粒子しか利用できないものを同一イオン源から4種類の微粒子を利用できる新型イオン源を開発した。これを用いると、同じ種類の微粒子を充填しておけば、これまでに比べ最大4倍の時間利用できることになり、約1ヶ月間イオン源の交換なしに実験でき飛躍的に実験効率を上げることができた。
以前より実験が進められてきた衛星搭載用飛行時間(TOF)型質量分析器の開発も順調に進み、我々独自のアイデアである局面電場を用いた新型リフレクトロン型TOF質量分析器の微粒子衝突実験も東大とドイツ・マックスプランク核物理学研究所とで行なわれた結果、質量分解能(M/ΔM)を200以上とすることができ、所定の目的を達成した。
2年前より始めた衝突実験ではピエゾ素子に微粒子を衝突させ、その際生じる衝撃波を測定し微粒子の速度と質量や電荷との相関を調べている。この素子は水星への打ち上げを目指してヨーロッパと日本の共同で開発されているBepi-Colomboという衛星に宇宙塵観測用検出器として搭載のプロポーザルが提出されている。この開発も東大とドイツ・マックスプランク核物理学研究所とで実験が行なわれ、データ処理の方法を検討できるだけのデータを蓄積することができた。
【研究代表者】