プラズマを用いた群分離法の基礎的研究
【研究分野】原子力学
【研究キーワード】
分離 / 群分離 / プラズマ / プラズマ超微粒子発生 / 強制蒸発 / 活性水素
【研究成果の概要】
昨年度得られた実験結果の追試、実験装置の改良、それによって反応性プラズマによる強制蒸発・分離機構を調べる実験を行い成果を得た。
実験は真空排気可能なテスト容器中に、プラズマジェット発生装置を設置して行なった。ここに適用な組成のアルゴン/水素の混合ガス(水素0〜20%)を供給して反応性プラズマを発生し、水冷ハ-ス上に置いた次の2種の試料に照射した。(1)金属混合物(真鍮)試料。(2)同サイズの純銅に穴をあけて少量の亜鉛粉末を仕込んだ試料。(1)では試料中の亜鉛成分の蒸発を起こし、プラズマ中の電子による蒸発成分の励起種からの発光スペクトルの分光分析を行った。(2)では様々な温度条件においてプラズマジェット照射加熱し、照射後の銅試料内部の亜鉛あるいは銅の分布をエネルギ-分散型X線元素分析器によって測定し、反応性プラズマの金属元素の拡散への影響を調べた。
以上の実験において以下のことがわかった。(1)のスペクトル分析の実験から、ある条件下では亜鉛の水素化物(ZnH)からの発光と思われるいくつかのピ-クが得られたことから、真鍮表面からの亜鉛の蒸発現象はプラズマ中の水素原子が真鍮中に反応溶解し低沸点の亜鉛水素化物が蒸発している可能性がある。(2)プラズマ照射後の亜鉛、銅の分布測定実験において、アルゴンプラズマの照射の場合と、アルゴンー水素プラズマが照射の場合とでは、定性的ではあるが明らかに後者の方が相互拡散が促進されている。また以上から、強制蒸発として従来提案されていた機構では説明ができなかった分離をも含めて説明することができる「水素化物の関与するモデル」の可能性を提唱するに至った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
北本 朝史 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1990 - 1991
【配分額】1,600千円 (直接経費: 1,600千円)