C-14同位体分離法の開発研究
【研究分野】原子力学
【研究キーワード】
炭素同位体分離 / 同位体効果 / 一酸化炭素 / 二酸化炭素 / カルバメート / 分子軌道法 / 四配位錯体 / カルボニル化合物 / 炭素 / MO計算
【研究成果の概要】
原子力施設から発生するC-14廃棄物の減容処理のため、C-14同位体を分離濃縮する方法の研究を行った。対象とする物質が原子炉中性子減速材グラファイトであるため、その処理法として最も簡単な燃焼によって発生するCO及びCO_2を作業物質として選んだ。本研究は次の3サブテーマから成る。
(1)分子軌道法を用いる炭素同位体効果の研究
軽元素の同位体分離法としては錯体化学交換法が適当である。そこで本研究ではCOとCO_2錯体について分子軌道法により最適な分子構造を決定し、その分子内振動数から同位体換算分配関数比を計算した。COについては銀Ag(I)非水溶媒系、CO_2系については種々のアミンとの錯体カルバメートについて計算を行い、常温領域でも分離係数α=1.01〜1.02を得た。
(2)CO錯体系の^<13>C/^<12>C分離係数測定の研究
COはCu(I)やAg(I)イオンと錯形成することが知られている。本研究では安定同位体の^<12>Cと^<13>Cについて、水溶液、及びアミン溶媒中のCu(I)Cl-CO錯体と気相CO間の平衡同位体分離係数を温度を変えて実測した。その結果-43℃、エタノールアミン/メタノール系で^<13>C/^<12>C同位体分離係数1.03を得た。これを^<14>C/^<12>Cに換算すると1.06となり、充分大きい値を得た。
(3)イオン交換多段濃縮の研究
CO_2アミン錯体系の多段濃縮は陰イオン交換樹脂を用いると達成できる。イオン交換樹脂を用いる多段同位体分離の基礎として、本研究では、Cu(I)及びFe(III)の塩素錯体イオンについて陰イオン交換樹脂酸化還元クロマトグラフィーを行い、Cu及びFeの同位体濃縮を観測した。これによってイオン交換多段同位体濃縮の有効性を確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鈴木 達也 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
野村 雅夫 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】5,300千円 (直接経費: 5,300千円)