コバルト系金属間化合物の表面特性の解明およびそれを生かした新規な触媒の開発
【研究分野】触媒・化学プロセス
【研究キーワード】
金属間化合物 / 触媒 / コバルト / 白金 / 水素化 / 部分水素化 / アセチレン / ブタジエン / 合金 / エチレン / 水素解離吸着
【研究成果の概要】
Co-Ge、Co-Al、Co-Sn系金属間化合物粉末は、高純度粒状金属を所定の比率で混合溶融しインゴットを得た後、空気中で粉砕することにより調製した。X線回折により目的金属間化合物の生成を確認した。XPSスペクトルから、873Kで水素還元することにより空気酸化された表面が完全に金属状態に還元できることが分かった。還元処理後、一酸化炭素の昇温脱離を行った。金属Coと比べCo-Ge系では一酸化炭素の脱離ピークが異なる位置に現れた。水素解離能力を知るため、H_2-D_2交換反応を行った。活性の序列はCo》CoGe>CoAl>CoGe_2>CoSn>Geとなった。
上記金属間化合物を触媒として、アセチレンの水素化反応を行った。Co単体はアセチレンをエタンにまで水素化したが、金属間化合物上ではエチレンが選択的に得られた。金属間化合物の部分水素化に対する特異な触媒特性は、エチレンよりもアセチレンに対してはるかに高い水素化活性をもつためであることを明らかにした。H_2-D_2交換反応をアセチレンあるいはエチレン存在下で行った結果、Co-Ge系金属間化合物上ではこれらの炭化水素が存在すると水素の交換反応がほとんど起こらないことを見いだした。さらにPt-Ge系およびNi-Sn系金属間化合物を調製しH_2-D_2交換反応を行ったところ、PtおよびNiの水素解離能力は大きく低下した。1,3-ブタジエンの水素化を行った結果、Ptは1,3-ブタジエンをブタンにまで容易に水素化するのに対し、Pt-Ge系金属間化合物は高選択的にブテンを生成することが明らかとなった。以上の結果から、水素化活性の高い遷移金属を典型元素と組み合わせて金属間化合物を形成することにより、部分水素化に特異な選択性をもつ触媒が得られることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)