直径数十nmの球状空間に閉じ込められたホモポリマーの結晶化挙動
【研究分野】高分子・繊維材料
【研究キーワード】
高分子構造・物性 / ナノ材料 / 結晶性ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / 結晶化 / 主鎖切断 / 空間的拘束 / 結晶性-非晶性2元ブロック共重合体
【研究成果の概要】
本研究では、nmオーダーの「空間的拘束」が高分子鎖の結晶化挙動に与える効果を調べるために、まず様々な分子特性を持つ結晶性2元ブロック共重合体を合成した。これらの系における様々な空間的拘束条件(球、シリンダー、ラメラ、または結晶性ラメラ)と鎖の結晶化挙動の相関の定量的解明を目的とした。一方「分子拘束」の具体的な効果を調べるために、ホモポリマーを球状、または、シリンダー状ナノ空間に閉じ込めた系を創成した。この系の結晶化過程と最終構造を求めることにより、「分子拘束」が高分子鎖の結晶化挙動と最終構造に与える影響を解明することを目的とした。
各種ナノ空間による「空間的拘束」は、高分子鎖の結晶化に重大な影響を与えることが明らかとなった。さらに、結晶化に与える影響は、拘束空間の形状・大きさのみならず、その性質(結晶性、または、非晶性)により大きく変化した。特に結晶性ラメラくり返しが作るナノ空間は、高分子鎖の結晶化に対して非常に特異的な「空間的拘束」を与えることを初めて見出した。一方、「分子拘束」が結晶化に与える効果は、ナノ空間自身の存在による効果に比べれば小さいものの、結晶化速度、結晶化挙動、および、最終的な高次構造に有意な差をもたらすことが明らかとなった。特に、「分子拘束」が結晶化を加速するという新しい知見を得た。これらの研究成果は、結晶化に関する新しい知見が多数含まれており、基礎研究の観点から極めて重要である。また、これらの成果により、各種高分子材料中の高次構造制御に対する設計指針が与えられるので、その意義は大きいと考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
石曽根 隆 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】14,710千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 510千円)