固体中の光学過程による量子計算の可能性
【研究分野】物性Ⅰ
【研究キーワード】
量子計算 / 量子もつれ / フォトン / 量子暗号通信 / 量子通信中継機 / 量子ドット / ラビ振動 / 励起子
【研究成果の概要】
電子や光子,あるいはスピン等の量子もつれを利用する量子計算は,従来の古典的フォン・ノイマン型計算機を凌駕する演算速度が予想され,未来技術として大きな期待が寄せられている。量子計算の実現には種々の方式が提案されていて,現時点でそれらの優劣を判定することは難しい。しかし,モードロックレーザーによる超短光パルスの発生や,複数の波長のレーザー光を用いたラマン過程による複合的な電子系の制御,あるいは,フォトンカウンティング等の高効率検出法の存在を考慮すると,光学的手法が有力候補であることは疑い得ない。本研究では,(1)招待講演者ならびに公募講演者によるシンポジウムの開催,および,(2)主要な国際会議の聴講による研究動向調査を行って,固体中の光学過程を用いた量子計算実現の可能性について総合的な調査研究を行った。
平成15年8月18日,19日の両日につくば市の物質・材料研究機構で開催したシンポジウム「固体中の光学過程による量子計算の可能性」では,14名の講演者が(1)量子暗号通信,(2)量子もつれ合い光子対の生成,(3)量子通信中継機,(4)量子ドット中電子準位の光学的操作,(5)単一ドットの励起子ラビ振動,(6)共振器QED,(7)輻射場設計と量子計算,等々のテーマについて講演し,議論を深めた。国際会議については,(1)第48回SPIE国際会議Quantum Communications and Quantum Imaging(ロサンゼルス),(2)第16回国際レーザー分光会議(ヶアンズ),(3)CLEOヨーロッパ(ミュンヘン),(4)Photonics West(サンノゼ)にそれぞれ1名を派遣して,量子計算と関連分野の最新の研究動向を調査した。
以上の調査研究の成果に基づいて,光学的量子計算の実現を目指す「エキゾチックフォトンの研究」を平成16年度新規特定領域研究課題として提案した。
【研究代表者】