プロリルエンドペプチダーゼおよび阻害剤複合体のX線結晶構造解析
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
プロリルエンドベプチダーゼ / 自動分注器 / 溶解度曲線 / 多変量解析 / X線結晶構造解析 / ホモロジーモデリング / ドッキング・シミュレーシ / 分子軌道法 / プロリルエンドペプチダーゼ / ドッキング・シミュレーション / 沈殿曲線 / 分子軌道計算法 / ストリーク・シーディング / 分子置換法 / 阻害剤-酵素複合体
【研究成果の概要】
プロリルエンドペプチダーゼ(PEPase)は、プロリン残基のC末端側を特異的に切断する酵素であり、特に脳内に分布し、アミロイドA4前駆体タンパク代謝に関与しアルツハイマー病の原因究明の点からも注目されている。そこで基質認識機構の解明を目的としてX線解析に着手した。第一の目標は、高品位な結晶を作製し、高分解能に回折させる結晶を再現性良く得る。そこで、結晶の溶解度曲線(沈殿曲線)を作成し、結晶の核形成領域と準安定領域を実験的に決定した。PEPase結晶を1週間以内に再現性良く得ることが出来るようになった。結晶の空間群はP4_1に属し、格子定数はa=b=93.17Å,c=169.02Å、分解能は3.2Åであった。豚脳由来のPEPaseの構造を分子置換法で解き、精密化が進行中であるが、R=25.7%である。触媒ドメインと非触媒ドメインに大別され、前者は、α/βフォールドをとり、ジスルフィド結合により安定化されていた。活性部位は、触媒3残基(Ser536、Asp620、His655)を含み、2つのドメインの界面に位置していた。しかし、阻害剤-複合体分子も分解能が低く、高分解能の構造情報が得られない。そこで、機能解析と分子間相互作用の相関を計算し、薬剤の設計できるin silico実験系の構築を目指した。その試みとして、DyPを例に挙げる。(1)自動分注器の分注機械精度を活用し、沈殿曲線を作成し、結晶の核形成領域と準安定領域を実験的に決定し、新規の結晶を得た。"不完備要因実験"に基づき条件を検索し、応答曲面解析という多変量解析によって、条件を最適化し構造を決定した。(2)ネイティブ構造に、種々のアントラキノン基質を、ドッキング・シミュレーション計算し、基質-酵素相互作用を高精度に見積った。結合部位を予測し、基質や阻害剤の結合親和性を定量化し、それを利用して共結晶化した。解析して、基質の位置を確認した(投稿中)。(3)アミノ酸残基の側鎖のコンポメーション解析により、高磁場による構造の安定化によってリゾチーム結晶が良質化した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)